復興への”夢”と”願い”が詰まった大粒のブランド牡蠣「夢牡蠣」【宮城県石巻市/株式会社海遊】

簡単にまとめると

中層延縄養殖法という独自の養殖方法で、4年上の歳月をかけて丁寧に養殖
徹底した検査体制で安心・安全
牡蠣特有のえぐみもなく、甘くてクリーミーな味わい

三陸リアス式海岸で自然豊かな宮城県石巻市雄勝町。この地域の雄勝湾では以前より牡蠣の養殖が行われていましたが、年々関わる人が少なくなり、さらには東日本大震災の甚大な被害によって過疎化が急激に進んでしまいました。そんな状況の中、牡蠣の価値を高めながら地域の活性化を推進するために、6次産業化を目指す会社「海遊」を立ち上げた伊藤浩光さん。伊藤さんは東日本大震災からの復興の夢と願いが込められた「夢牡蠣」を生産し、今ではブランド牡蠣として広く知られています。この「夢牡蠣」がいかにして育まれているのか?その秘密と美味しさについて、伊藤さんに語っていただきました。

豊かな自然でミネラル豊富、養殖に適した海


緑豊かな山に囲まれた雄勝湾は水が透き通るほどに綺麗で、養殖をするのに理想の環境と言えます。
「雄勝湾は水深が深いし、海底からの湧水で他の海と比べて大腸菌の数が少ないんです。プランクトンもたくさんいて、ミネラルも豊富です」
伊藤さんの実家は養殖を手掛けていたこともあり、以前から地元の水産業や牡蠣の養殖について、いろいろと考えていることがあったそうです。
「元々、個々の地域は大きい牡蠣を生産していたんだけど、誰もブランディングしていなかったんですね。震災を機にいろいろやり直して、「海遊」として牡蠣の養殖を本格的に始めました。そして代表的な商品をということで、復興の夢と願いを込めて「夢牡蠣」と名付けたんです」

独自の養殖方法で育まれる特大サイズの牡蠣


港から船を10分ほど走らせ牡蠣の養殖場に到着。たくさんの浮き球が浮かんでいます。これは「中層延縄養殖法」という独自の養殖方法で、時間をかけて丁寧に牡蠣が育てられています。水深が深い雄勝湾ならではの方法で、上層部とは違い中層部は金が少なく、生食にも適した鮮度を可能にしています。
「他の地域の牡蠣だと海の上層部や岸辺で養殖をするんだけど、うちは中層でやっているんです。だから死滅や病気もなく、いつも鮮度抜群なんですよ」


この養殖方法は台風や高波などの天災にも強いとのことで、未曽有の被害にあった東日本大震災の経験も活かされています。
海中に沈められた縄を引き上げると大粒の牡蠣が連なっており戦場へと次々と揚げられていきます。ちなみに副産物としてムール貝も一緒に獲れるそうです。

全てを自社で行う6次産業化で地域を活性化


水揚げされた牡蠣は自社の作業場へと運ばれ、洗浄→浄化→選別→加工まで全てが行われます。その後、全国各地のみならず海外(主にシンガポール)へと出荷されます。これは生産(1次)、加工・製造(2次)、販売(3次)までを行うという水産業の6次産業化を実現しており、伊藤さんが2011年に「海遊」を創業した目的でもあります。
「全ては地域活性化のためなんですよ。震災前から過疎化が進んでいたので、それを抑えるためにはどうしたらいいかを考えた結果、6次産業化して工場を作り、雇用の場を作れば過疎化を抑えられると思ったんです。先進的事例と言われたこともあります」


また、検査体制も徹底しており、独自の厳しい基準で管理されています。
「ノロウイルスや大腸菌などの検査は週3回おこなっています。滅菌海水は月1回やっていますし、漁場の大腸菌数も常に徹底して調べているので、うちの検査体制は世界一だと思います」

海のミルクはクリーミーな味わい、美味しい食べ方も豊富


普通の牡蠣だと1~2年で市場に出されるところを、約4年という月日をかけて大きく育て提供される「夢牡蠣」。身入りが良くて肉厚だから、ミネラルもたっぷり。牡蠣特有のえぐみもなく、甘くてクリーミーな味わいを楽しめます。伊藤さんは牡蠣の専門家だけあり、いろいろな食べ方を教えてくれました。


「生で食べるのが一番美味しいけど、カキフライや鍋もいい。塩味が強いので、タバスコをかけて食べるのもおすすめ。実はタバスコって、牡蠣のために作られたソースという説もあるんですよ。蒸し牡蠣もいいし、アヒージョやコンフィ、オイスターシューターにしても美味しい。あと村上春樹の『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』という小説の中に出てくるんだけど、シングルモルトウィスキーをかけて食べるのも通好みでいいですよ。