佐渡ヶ島の新しい仲間。こだわりの栽培方法で作られたれんこん「佐渡シルクれんこん」【新潟県佐渡産/佐渡シルクれんこん 代表 菅】

簡単にまとめると

GIAHS認定地域の耕作放棄地でゼロから栽培
慣行栽培とは一線を画した安全な栽培方法
採れたての鮮度を保ったままお届け

新潟県の沖合、日本海に浮かぶ佐渡ヶ島。東京23区の1.4倍の面積、1周約280㎞のその大きな島は周囲を流れる対馬暖流のおかげで意外にも暖かく、冬は雪も少ないのだそう。海と山、渓谷という大自然、四季折々の表情はとても豊か。「島だから遠い…」そう思われがちですが、佐渡ヶ島は本州から近く、東京からは新幹線とフェリーを乗り継げば3時間半で到着します。

この自然豊かな島へ5年前に移住し、耕作放棄地を活用しながら土づくりに取り組み「佐渡シルクれんこん」を生産されている菅さんにお話を伺いました。

朱鷺の舞う自然豊かな離島での挑戦


佐渡ヶ島は、世界農業遺産(GIAHS)に認定された世界的にも希少な離島です。
GIAHSとは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたって形作られてきた伝統的な農法や、生物多様性の守られた土地利用のシステム、それに関わることで育まれた文化や風景などを保全し、次世代に引き継いでいる世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域のことを指し、国際連合食糧農業機関により認定されます。世界では74の地域が認定され、佐渡ヶ島はその中でも稀にみる離島になります。(2023年3月時点)

そんな環境の中で移住してから約5年。耕作放棄地だった土地の土作りから始め、生態系への影響を疑われるネオニコチノイド系の農薬を排除し、有機肥料を使用したこだわりの栽培方法を用いて「佐渡シルクれんこん」は作られています。

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「手間とコストはかかりますが、安心、安全なれんこんをお届けするために有機肥料を使い、減農薬・化成肥料不使用で育てています。」

2021年度の初出荷でおよそ2トンだった収穫量は、2022年度では計画通りに4~5トンまで増加しました。

佐渡ヶ島の農業活性化を目指して


佐渡ヶ島の農業が高齢化や放棄農地増加による地方衰退の問題に直面している中、菅さんは新たな栽培品目を開発することにより、里山の荒廃に少しでも歯止めをかけられればとの思いから「佐渡シルクれんこん」を生産されています。高齢化による農業人口の減少や担い手不足による耕作放棄地を活用して、その先に若者の就労機会も創出したいとの思いが背景にあるとのこと。

佐渡ヶ島への移住者は年間500名ほど。そう聞くと意外にもたくさんの人が移住しているのではないか、と感じますが、一次産業の就業人口はかなり低いのが現状です。そんな佐渡ヶ島の農業就業人口を増やすべく、若者の就労機会創出や経済確保を目指して活動されています。

「佐渡ヶ島の外から見ても、「きれいだね!頑張ってるね!」と言われるような土地にしたい。佐渡シルクれんこんの成功を一事例として、他の放棄地も動き出すはずだから。」

丁寧な処理で、採れたて新鮮なままお届け

「佐渡シルクれんこん」の収穫時期は夏場から3月にかけて。通常のれんこんは節が繋がった状態のまま洗浄を行い市場に出荷され、スーパーなどの小売店でカット・パック詰めされることがほとんどです。理由はれんこんに多く含まれるポリフェノールの一種であるタンニンが、空気に触れて酸化することで黒く変色してしまうためです。菅さんが栽培方法の他にもこだわっているのは、鮮度。「佐渡シルクれんこん」は収穫後その日のうちに洗浄→節切り→品質チェック→仕上げ洗浄(安全殺菌処理)→真空パック処理の工程を経て、冷蔵保存されたものを出荷します。


「極力鮮度を保ち、採れたて新鮮な状態でお届けするために、収穫日のうちにパック詰めまでの工程を終わらせています。」

この形態のメリットは、調理時の残渣(生ごみ)を少なくできることと、冷蔵保存によって通常3~7日程度の日持ちを14日程度まで長く、新鮮な状態を保てることにあるといいます。※生ものですのでお早めにお召し上がりください。

煮物だけではもったいない!超簡単レシピで美味しい晩酌のお供に


「佐渡シルクれんこん」の特徴は何といっても、色と食感!”シルク”という名前の通り、白くキレイな見た目と口の中で繊細に解ける食感は、食べた人を魅了します。佐渡ヶ島内のレストランやスーパーではもちろんのこと、すでに島外からも引き合いがあります。そんな「佐渡シルクれんこん」の美味しい食べ方を教えてもらいました。

「れんこんはビタミンCも豊富で、加熱しても腸活の善玉菌の活性化に役立つそうです。変色防止策として慣例で酢水に浸けるとされますが、酢水は折角のホクホク感が薄らいでしまうので、お料理の内容によって使い分けをするのが良いと思います。生産者推しの簡単レシピは、ポテトフライのように手軽につまめるフライドれんこん。あとは、れんこんチップスやすり流し汁などもおすすめです。れんこんがメインで手間なしで簡単にできて晩酌のお供にもバッチリです。」